想い

装いの庭の藤枝です。ぼくがあの手この手を使い産業を盛りたてようとしている。その理由は一重に育ててもらった人たちへの恩返しをしたいからです。

十数年前、ぼくも産地に入った若者の一人でした。織りではなく、糸を撚る「撚糸」を行うメーカーに勤めていた時期があります。

9時-18時の間、糸を巻き、見本染め屋を周り、編み機でスワッチ用のサンプルを編むなどをずっとこなす仕事でした。正直言ってやりがいのある仕事とは思っていませんでした。けれど、ものづくりはこういう時間の積み重ねの中にあるんだとは思えました。

その経験があるから、作り手や製造業の人たちに対して、尊敬の気持ちを持って接することができているのだと思います。

繊維産業はどうしたらよくなるのか、いつの間にか考え続けるようになっていました。昔お世話になった現場で働くような人たちに笑いながら仕事をしてもらいたいと思うんです。この展示や山梨で関わらせてもらっている仕事の先にはそういう未来をいつも思い描いています。

「日本のものづくりを守ろう」「職人の技術を伝えよう」。いってしまえばありきたりに聞こえてしまうと思います。でも、そんな中でもひと味違うんだよ、というつもりではやっています。少しでも多くの人に気持ちが届いて信頼を預けてもらえたらとてもうれしいです。